神は細部に宿る。
※ポムデポポタンの製作方法や職人による唯一無二の縫い方は秘密情報のため、公開しておりません。動画内の手縫いは従来の縫い方です。
ルーツ
Roots
Ⅰ揉み革から始まった
私の革細工は、山羊革の揉み革を作ることから始まりました。
白鞣しや茶利八方という革が好きで、昔ながらの揉み革を作りたいと思い、さまざまな文献で勉強しながら、革を加工するところから始めました。
そこで、革の歴史を学びました。
Ⅱ縫えないまま作った、最初の財布
幼い頃、よく一緒に遊びに行ったのはおじちゃ(祖父)でした。
山へ連れていってもらい、山菜を採り、釣りもしました。
そのおじちゃが、亡くなりました。
私はまだ、革を縫うことができませんでした。
それでも、いつも財布を持たないおじちゃに、お金をたくさん持って行ってもらいたかった。どうしても財布を作りたかった。
ものを作る知識はありませんでしたが、縫わずに作れる財布を考え、仕立て、副葬品として棺に納めることができました。
その革財布が、初めてのオリジナル作品です。
縫うことができなかったことが、悔しかった。縫えていたら、もっと良い財布を作れたのに、と今でも思います。
Ⅲ糸から、縫い目へ
ある時、江戸時代の作品を知り、その縫い目に惹きつけられました。
そこから、その時代の糸の作り方を学ぶところから始めました。
日本最古の協会で情報を集め、糸の紡ぎ方、紡ぐための道具、撚るための知識を学び、世界中から材料を集めて、糸を作ることを学びました。
糸を一通り作れるようになった時、これが縫い目になったところを見たくなりました。
そこから縫い方の研究を始めました。この時点で、二年が経っていました。
まだ、作れるものはありませんでした。周りの人たちからは、技術なんていらない、デザインの方が重要、物を作れる方が大切だと言われてきました。
それでも私は、何よりも技術と歴史が大切だと、今でも思っています。
それから、財布や鞄、ソファの貼り替え。
自分のできることを増やすために、何でも挑戦してきました。
ただ、熱中できる作品がなかった。
Ⅳがま口と出会う
そんなとき、パートナーと出会いました。
革をやっていると話すと、財布を作ってほしいと言われました。
ありきたりなものは渡したくありませんでした。
母も祖母もよくがま口を使っていて、幼い頃からとても身近なものでした。だから、がま口を作ろうと思いました。
好きな色の革で、親子がま口を仕立てて贈りました。
決して、自分が納得する仕上がりではありませんでした。
そこから、がま口の魅力に取り憑かれていきました。
この世に存在するがま口は、使いづらいものが多かった。
おそらく、作り手が作るだけで、自ら使っていないからだと思いました。
自分が使いやすいと思うがま口を作りたいと思い、がま口の歴史から学び、現代でも使い勝手の良いがま口を作り始めました。
技術
The Work
研ぎ・道具
Sharpening & Tools
作品を作るようになって、道具にもこだわるようになりました。
「手縫いの神髄」「革工芸の楽しみ」といった昔からある革工芸の本を読み、道具について学ぶうち、錐と革包丁の大切さを知りました。
刃物は、研がなければ使えません。道具を使う前に仕立て方を学ばないといけないと思い、地元の鍛冶場を訪ね歩き、研ぎを教えてくださる方を探しました。教えていただけたのは、一件だけでした。
その後、作る人と使う人とでは研ぎが違うことを知りました。
宮大工の方や伝統工芸士の方々に研ぎの話を聞き、それを参考に自分の研ぎ方を知り、磨いていきました。
砥石にこだわり、刃物への理解を深め、研ぎの精度を幾段も引き上げてきました。
道具はすべて自らの手で仕立てます。
工房での一日は、革に触れるよりも先に、道具を研ぐところから始まります。
革包丁、錐、針。
製作に使うすべての刃物を、その日の仕事に合わせて研ぎ直します。
同じ作業でも、日によって手の角度も、力の入り方も違う。それに応える道具を選ぶ必要があります。
丁寧に扱われた道具からは、丁寧な作品が生まれる。そう信じて、ものづくりを続けています。
素材
Material
すべては、素材を見極めることから。
はじめに、作りたいものを床革で試作します。
その出来上がりを見て、こういう革なら合う、こういう風合いなら魅力が増す。そう考えながら、世界中の革から探します。
そして実際に作り、自分で使ってみて、納得したものだけを使います。
革には、一枚ごとに表情があり、部位ごとに性質が違います。
この作品には、この革を。
一枚の革のなかでも、この場所には、この部位を。
有名な革だから選ぶ、ということはしません。
適材適所という言葉のとおり、革にも合う合わないがあります。
その見極めが、永く寄り添うものの土台になります。
手撚り糸
Hand-twisted Thread
糸は世界中から厳選し、自らの手で一から撚ります。
下撚りは、2,000回転以上。
求める手縫い用の糸が「ない」のなら、自分で作るしかないと思いました。
一から撚ることで撚りが細かくなり、面で接することが減ります。摩擦に強く、耐久性が上がります。
元々は右撚りの糸を作り、その糸で作品を作ってきました。
私は右利きでした。けれど、手縫いを始めてから左利きに変えました。
理由は単純で、「縫う側が、糸に合わせていかないとダメだ」と気づいたからです。
糸も針も、自分で作る。利き手も変える。ここまで徹底するのは、独自の縫い方に到達したいからです。
左撚りの糸
右撚りの糸
縫い
Stitching
総手縫い・総手作業。
ミシンには出せない仕上がりがあります。
革は、布のように繊維の密度が均一ではありません。
柔らかい部分もあれば、強い部分もある。どう縫えば、どこにテンションがかかるか。手縫いの仕方そのものを研究を重ねてきました。
これまで何百種類もの縫い方を試しています。
平面を縫うときの縫い方、立体を縫うときの縫い方、強度を出すための縫い方、見た目の美しさを引き出す縫い方。
同じ手縫いでも、目的によって最適な技法はまったく違います。
なかでも立体を縫う縫い方は、独自に編み出したもの。
ポムデポポタンのあの滑らかな曲線美は、この縫い方なしには生まれませんでした。
独自の縫い方と、こだわりの糸。この二つが合わさって、美しい縫い目が生まれます。
んだな、
びっとさねばまねだ。
おじちゃなら、そう言うと思います
※津軽弁で「そうだな、ちゃんとしないとだめだよ。」という意味
タイムライン
Timeline
2017
全国大会の舞台へフィジーク選手として
2019
事故に遭い左手に怪我を負う
祖父が他界初めての作品となる革財布を作る
2021
親子がま口を贈るがま口の研究を始める
2022
「ポムデポポタン」が完成する
2023
特許・意匠・商標を取得「VOUIVRE」販売を開始
2024
ブランド「Rhumore」立ち上げ
2024
第5回 杜のみやこ工芸展「ポムデポポタン」入選
2024
レッツBuyあおもり「ポムデポポタン」新商品認定
2025
弘前市ふるさと納税返礼品「ポムデポポタン」取り扱い開始
2025
令和7年度 東北地方発明表彰「青森県発明協会会長賞」受賞
2026
弘前市ふるさと納税返礼品「Rhumore」製品取り扱い開始
永く寄り添えるもの。
その手仕事は、二つのブランドに息づいています。
ポムデポポタンは、どうやって生まれたのか。
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